アラバマ物語 正義と勇気を語る美しい小説
暮らしの手帖社によるあらすじ解説
「舞台は1930年代のアメリカ南部アラバマ州。
人種差別の色濃い町で、母を早くに亡くし、弁護士の父と暮らす兄妹。
その町で黒人の若者が、婦女暴行の無実の罪をかぶせられます。
父は彼の弁護を引き受け、閉鎖的な町にあふれる人種差別や偏見のなか、
陪審員が白人だけの法廷で、正義の戦いを挑んでいきます。
二人は、法廷に立つ父の姿を目にしたり、
町で起こる多くのことを経験して、成長していきます。
信念を貫く父の姿は、正義と勇気の象徴として、
アメリカ国内だけでなく、世界中の人びとの心に刻まれています。この美しい小説を、世のすべての親たちに捧げます」
パラリンピックは感動でした。それぞれの人にそれぞれの個性がある。
そんな折、アラバマ物語を読みました。
やさしい物語です。そしてとってもとっても考えさせられる。
正義がわかっていても社会との折り合いをつけねばならぬ社会。
無実の被告を有罪にする(全員白人男性の)陪審員。
当時の黒人は有罪=死刑。少女と少年はなぜそんなことになるのかわかりません。
教会では「人はみな平等」と教えられるのに、
肌の色、住んでいる場所、たずさわる職業で、人は差別をする。
当時の悲惨さに比べればいま、差別の度合いは下がったでしょう。
人種を越えた結婚、性差を超えた結婚、個人の自由になりました。
とはいえ武器や情報武装で、戦争は世界のどこかでやっており、
ネットでの中傷は無分別。
差別は表面だけ消えたように見えるのかもしれません。
物語の主人公、10歳にもならない娘、ジーン・ルイーズ・スカウトの心に寄り添いました。そして、日々どういった心で過ごすべきか、生きるべきか、思いを巡らせました。いい時間を過ごせた気がします。
素晴らしい物語だと思いますが、こういった本は本屋で売っていません。
ネット書店でも売切れか、あっても希少本で高価。
近所の図書館にもなく、中央図書館の奥の書庫にあるのを借りました。
ひっそりと存在している本。とはいえ、多くの読者の手に触れたのでしょう。
ページはめくりにくいほど薄くなっています。この本の値打ちを証明しているようです。
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