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存在は絶えず震えている

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緑あふれる絵画の前に立ったとき、木々が発する息吹を感じる。 森を写生したものじゃない。具象的な再現描写でもない。自分自身が自然の一部となった、あふれるような感受を描いている。
「存在はあなたの中にある。あなたと同じように」 ヨーガの経典、「バガヴァッド・ギーター」で示されることばを思い出した。

今回の展覧会のタイトルは「存在は絶えず震えている」。 なるほど。 しかし訊ねてみると彼女は、ヨーガのことは知らない。意識していないと言う。 それでこうも訊ねてみた。 松宮「タイトルはちょっと村上春樹的かな」 あやりえ「村上春樹は好きです」 松宮「ヨーガと村上春樹を足してみればこうなるよ『存在は絶えず震えている。わたしと同じように』 あやりえ「ふうん」
ヨーガを知っている、知らない、村上春樹的……そんなことで語るべきじゃない。 人には生まれながら美を理解する感覚が埋め込まれているということ。あなたと同じように。 芸術家はそんな美を、観る者、聴くものに、感情を形にして伝えることができる伝道者。

彼女の絵には中国絵画における気韻生動というテーマがある。 「『気韻生動』は古くから中国の絵画の評価基準である六法のうちの第一『気と韻(生命の流れとリズム)が活き活きとしている』こと。自分自身も自然の一部であるという東洋前近代の主客的世界観を絵画として表現することの試み」
六法(ろっぽう)がわからないので調べてみた。
「りくほう」ともいう。中国南北朝時代、南斉(なんせい)(479~503)の謝赫(しゃかく)が『古画品録(こがひんろく)』で述べた、絵画制作の六つの要点。このことばは東洋絵画における真髄を表したものとして、現在でも重宝がられている。確かにその内容は的確で含蓄があり、長い年月を経てもその輝きを失わない。その六つとは、(1)気韻生動(きいんせいどう)=気の充実した生き生きした表現、(2)骨法用筆(こっぽうようひつ)=骨格のしっかりした線で対象を確実に把握すること、(3)応物象形(おうぶつしょうけい)=対象の形に応じて写実的に描くこと、(4)随類賦彩(ずいるいふさい)=対象に従って色をつける、(5)経営位置(けいえいいち)=構図をしっかり決める、(6)伝移模写(でんいもしゃ)=古画の模写を行い技術・精神を学ぶ、以上である。このなかでも「気韻生動」は、芸術全般に適合することばとして広く使われてきた。 日本大百科全書(ニッポ…