2019年5月9日木曜日

神戸ユース・ジャズオーケストラ。メンバー募集中

小説「アンフォゲッタブル」には実在のジャズミュージシャンたちが登場します。中高生のジャズ楽団「神戸ユース・ジャズオーケストラ」もそのひとつです。
神戸ユース・ジャズオーケストラ。メンバーとコーチ。


ジャズをテーマに書いたきっかけは、ミュージシャンの広瀬未来・高橋知道両名との出会いがそもそもではありますが、その先にあった新たな出会いによって、神戸のジャズをテーマにしよう」という強い動機がうまれました。それは彼らがコーチを勤める中高生たちの演奏であり、「ジャパン・ステューデント・ジャズフェスティバル」での熱演でした。


メンバーと広瀬未来プロ+先輩(大学生)。パートごとに指導役がいる充実感。
夏に神戸で開催されている。ジャパン・ステューデント・ジャズフェスティバルは1985年にはじまり、2019年で第35回目。(1998年からがコンテスト形式)。ほとんどの年度、兵庫県の中高生がグランプリにあたる神戸市長賞を獲り続けている。

フェスでの熱演
それ以来、中高生たちの演奏会や練習にも足を運び、彼らの息吹を感じる事に励みました。高砂高校も訪問し、部室に入れてもらい、その場で2曲演奏してもらいました。
フェスで常に上位賞を獲り続ける高砂高校ジャズ部。映画「スウィング・ガールズ」のモデルにもなった。部室は楽しさにあふれている。




ユース・ジャズオーケストラは今やスケジュール過密。
いろいろなところから声がかかる。この動画は神戸ジャズ・デイでの出番です


小説ではジャムセッションの楽しさを描きました。彼らの練習曲にウェザー・リポートの「バードランド」がありますが、それをジャムセッションへ突入させたのです。十代の若者においては「アンサンブル+ちょっとだけソロ演奏」というのが実際ですが、そこは小説。プロも驚く自由自在なアドリブが連続します。

小説の後半に、ジャズクラブでのジャムセッションシーンがあります。プロの舞台で。高校生たちは舞台袖で聴いているのですが、曲が「バードランド」になったとき、舞台から広瀬未来が「君らも上がっておいで」と高校生を誘います。このシーンを思いついた事は幸せでした。舞台へ飛び出して行く女子高生ふたりの、からだ全体からあふれる喜びを書くとき、自分人も、とても幸せだったからです。
舞台のドラマーは、神戸にやって来た本物のウェザーリポートであるピーターアースキンだったんですから。小説だから、架空だから書けたことではありますが、現実が想像を追いかけることは多々あります。ほんとうに実現するかもしれませんよ。


さて、神戸ユース・ジャズオーケストラは随時メンバー募集しています。ジャズをやってみたいけれど学校のジャズ部がない中高生、見学に行ってみてください。仲間になりたくなること請け合いです。


2019年4月24日水曜日

小説「アンフォゲッタブル」発売

小説「アンフォゲッタブル〜はじまりの街・神戸で生まれる絆(徳間文庫書き下ろし)」は絆の物語です。

ほんとうの愛に包まれ終活をする夫婦、ジャズ仲間に助けられ半グレを卒業していく若者、混沌が想像力を産み、再活性化する古い商店街。

地元の人、外から来た人、双方が助け合って作ってきた神戸。


主題はあくまで人。人の心に住む愛の話です。

4月〜5月に行う、トークショーでは、主人公のひとりが人生を考え直すきっかけになった曲「I Remenbar Clifford」のライブ演奏とともに、物語をご紹介していきます。
紀伊國屋書店梅田本店入口横
大森望さんの解説が帯にも
サンセイドウギャラリーでのトーク&ライブイベント

2019年2月28日木曜日

小説「アンフォゲッタブル」あらすじ

2019年4月5日「アンフォゲッタブル〜はじまりの街・神戸で生まれる絆」発売となります。

物語はいつものように妄想から組み立てはじめましたが、ドキュメンタリーを脚色した内容も多く、実際の名称、企業名、実名登場の人物への確認をいま(最終段階で)ていねいにやっています。日本のミュージシャン、アメリカのミュージシャン、高砂高校、神戸ユースジャズオーケストラ、神戸高架通商店街、川崎重工業神戸本社、自衛官、花隈地区、行政、さまざまです。


あらすじ

鳥谷書太郎は川崎造船社員で潜水艦の名設計士だったが、コンピュータテクノロジーの進化についていけず、最後は寂しく定年退職する。いらいらを妻にぶつけ、幼稚園児の声がうるさいと怒る。その幼稚園は土地買収にグレーな噂があった。池波安史は解散したやくざ事務所でアルバイトをした経験がある若者だが、幼稚園の土地問題にちょっかいを出す仕事をしたことで、ある筋から見込まれ、大きな不動産取引の忖度仕事を依頼される。それは立ち退き問題で揺れる神戸元町高架下商店街(モトコー)の巨大利権に絡み、暴力団も関わるとんでもない仕事だった。エンジニア、元やくざのバイト、商売人、警察、裏社会、ミュージシャン……さまざまな人間が個人の事情で動きながらも、もめにもめた商店街は生まれ変わり、立ち退き寸前だった神戸の老舗ジャズクラブが生き残ることになった。書太郎もジャズに出会ったことで素晴らしい余生を見つける。それは苦しい半生を歩んできた人たちを見事に救う事になるのである。ジャズが生まれた街神戸のJAZZYな物語。

登場人物

 鳥谷書太郎 引退した潜水艦エンジニア
 鳥谷雛子 書太郎の妻
 海音寺安史 フリーター 元やくざのアルバイト
 池波欽二 フリーター 元やくざのアルバイト
 大西結花 高校生 神戸ユースジャズオーケストラメンバー
 井ノ原沙紀 高校生 神戸ユースジャズオーケストラメンバー
 石山教授 大阪大学教授 ロボット工学の権威
 湊巧己 指定暴力団湊組二代目組長
 佐合真 指定暴力団湊組若中
 二階堂文夫 指定暴力団湊組舎弟 イタリアンのシェフ
 広瀬未来 ジャズミュージシャン
 高橋知道 ジャズミュージシャン
 佐藤栞 ジャズミュージシャン 保険の外交員
 内山千鶴 ジャズクラブJAMZのオーナー
 小倉良介 川崎造船所第四ドック総務部課長
 大城 兵庫県警組織対策課警部補
 盛田 神戸元町高架下商店街商店会会長
 特別ゲスト ピーターアースキン&Dr.um

物語に登場する曲
《ファラオズ・ダンス》ジョー・ザビヌル
《シング・シング・シング》ベニー・グッドマン
《ワン・オクロック・ジャンプ》カウントベイシー
《イン・ザ・ムード》グレン・ミラー
《バードランド》ウェザー・リポート
《アイ・リメンバー・クリフォード》リー・モーガン
《イエスタデイズ》ベニー・ゴルソン
《煙が目にしみる》クリフォード・ブラウン
《フォーリン・ラブ・ウィズ・ラブ》マル・ウォルドロン
《エンブレサブル・ユー》クリフォード・ブラウン
《Cジャム・ブルース》レッド・ガーランド
《ジュエリー・デイ》絢香
《ユー・ゴー・トゥー・マイ・ヘッド》ビリー・ホリデイ
《アップ・ジャンプド・スプリング》アートブレイキー&メッセンジャーズ
《ビリーズ・バウンス》チャーリー・パーカー
《ヤードバード・スウィート》チャーリー・パーカー
《ブルー・モンク》セロニアス・モンク
《バグズ・グルーヴ》ミルト・ジャクソン
《ふたりでお茶を》チャーリー・パーカー
《イレブン・イレブン》ピーター・アースキン&DR.UM
《クロージング・タイム》トム・ウェイツ
《チェロキー》クリフォード・ブラウン
《ザ・ガール・ネクストドア》キャノンボール・アダレイ
《ワット・ア・ワンダフル・ワールド》ルイ・アームストロング
《アンフォゲッタブル》ナットキング・コール
《ドナ・リー》チャーリー・パーカー&マイルス・デイビス
《ワルツ・フォー・デビー》ビル・エバンス



物語は神戸の風景満載ですが、主人公のひとりは東京佃島出身、もうひとりは大田区。神戸は中の人と、外から来た人が協力して作ってきた街、という視点も重要ポイントにしています。レセプションは神戸Jazz Day前夜祭として、ミュージシャンのライブありで、小説に登場するナンバーを演奏してもらいながらのトークイベントもやります。キーボード小林沙桜里さん、アルトサックス米田あゆさん、トランペット伊藤礼子さん。サンセイドウギャラリーには校閲生原稿を展示します。乞うご期待。


イラスト:シマカワマサシ

2018年11月12日月曜日

とくしんのいかん世の中 人生幸朗・生栄幸子

執筆のトレーニングに(特に会話に)漫才の書き取りをします。一字一句すべて。昔の漫才は本当に無駄がない。練られているというか、これこそ芸。
ということで、「とくしんのいかん世の中」人生幸朗・生栄幸子さん。どうぞ。

幸朗「本日はまことにもってお日柄もよろしく、おめでとうございます」
幸子「そうやねぇ、めでたいねぇ」
幸朗「思い起こせば」
幸子「何を思い起こすねん」
幸朗「私たち二人が結ばれましたのも、ついきのうのようで」
幸子「あほ!(叫ぶ)化けるほど生きてるくせに、なに言うとんねん。この老いぼれ!(叫ぶ)」
幸朗「まぁ、私どものことはさておいて」
幸子「はい」
幸朗「本日はめでたい」
幸子「そうやねぇ」
幸朗「が、」
幸子「何か、言いたいことあるんか」
幸朗「最近いちばん腹立つことは」
幸子「ええ」
幸朗「新聞代の値上げや」
幸子「ああ、それねぇ」
幸朗「突然六百円も上げやがって」
幸子「えげつないですねぇ、これはねぇ、六百円もねぇ」
幸朗「これ、皆様、どう思いなはる」
幸子「はい」
幸朗「それでワタシは言うた。えげつないことすない!」
幸子「えげつないことせんといてほしいわねぇ」
幸朗「とくしんのいく理由をはっきりせい! 言うたらね」
幸子「はい」
幸朗「新聞が赤字のために、これは上げさしてもらわなしゃあないと」
幸子「ふーん」
幸朗「向こうはそう言うんだ。けど、皆さん聞いてください」
幸子「はい」
幸朗「私は何十年新聞読んでるけどね」
幸子「ふん」
幸朗「赤字の新聞見たことない」
(幸子、黙ってうなずく)
幸朗「新聞は皆黒字やて」
(幸子、黙ってうなずく)
幸朗「とにかく今の世の中ね」
幸子「上がりっぱなしやね、何もかも」
幸朗「赤子の手をねじるようなことさらしよる」
(幸子、大きく二度うなずく)
幸朗「何でもかんでも上げたらええもんやないわい!(叫ぶ)」
幸子「高いわねぇ。風呂銭でも百八十円になってる」
幸朗「上げな損のように上げてけつかる」
幸子「ふん」
幸朗「この間も雨上がりの道歩いたら、ハネまで上がりよる」
幸子「関係ないわ、それは。気ぃつけて歩け、ボケザル」
 幸子唄う。
♪赤いリンゴにくちびる寄せて〜黙って見ている青いそら〜♪
幸朗「また唄うとる」
♪リンゴは何にも言わないけれど、リ〜ンゴの気持ちぃは〜よくわかる〜♪
幸朗「やめい!(叫ぶ)」
幸子「何で止めるんや。気分よう唄うとんとに、止めるな、このどろがめ!」
幸朗「なんというわけのわからん唄を唄うか、このおろか者めが」
(幸子黙る)
幸朗「銃殺にさすぞ、バカモノ」
幸子「偉そうに言うな、このハナクソ。これはな、並木路子さんのリンゴという唄やで。この唄のどこがあかんねん」
幸朗「たしかに・・・戦後の、あの乱れきった世相に、一条の光を投げかけたと言われる、あのリンゴの唄」
幸子「そうや」
幸朗「この唄は確かにすばらしい唄やと思います。しかし、この文句が気にいらん」
幸子「へ〜ぇ。この唄のどこがいったい気にいらんねや」
幸朗「赤いリンゴにくちびる寄せて、黙って見ている青い空。なるほど、そこまではまだ黙って聞いといたろ」
幸子「ほな、そんでええやないの」
幸朗「そのあとの歌詞が気にいらん」
幸子「そのあとの文句言うたらどないやねんな」
幸朗「えっ、リンゴは何にも言わないけれど、当たり前や、リンゴがもの言うてみぃ、くだもんやのおっさん、うるそうて寝てられるかい!(叫ぶ)」
幸子「しょうむないことばっかり言うな、天王寺のどろがめ」
幸朗「責任者出てこい!(叫ぶ)」
幸子「出てきたらどないすんねん」
幸朗「あやまったらしまいや、ごめんちゃい」

2018年11月1日木曜日

JAZZ TAXI試乗しました。贅沢な移動空間。



近畿タクシー(神戸市)所有のJAZZ TAXIに試乗させてもらいました。
ロンドンタクシー(4世代前)に、富士通テンのオーディオECLIPSE(150万円相当)を組み込んでいます。
昼間の市街地を走ってみました。それもよし。夜景を見ながらの六甲山JAZZはだったら最高でしょう。
ギタリストをひとり乗せて観客2名(サックスのクインテット+生ギタリスト)という、超ミニライブもやったことあるそうです。
メチャ贅沢ですね。
神戸JAZZ DAY 、JAZZ STREETにも登場してほしいです。
「普通に予約いただければJAZZとともに、お迎えに上がります」
とのこと。



動画はこちら




2018年10月30日火曜日

存在は絶えず震えている

緑あふれる絵画の前に立ったとき、木々が発する息吹を感じる。
森を写生したものじゃない。具象的な再現描写でもない。自分自身が自然の一部となった、あふれるような感受を描いている。

「存在はあなたの中にある。あなたと同じように」
ヨーガの経典、「バガヴァッド・ギーター」で示されることばを思い出した。


今回の展覧会のタイトルは「存在は絶えず震えている」。
なるほど。
しかし訊ねてみると彼女は、ヨーガのことは知らない。意識していないと言う。
それでこうも訊ねてみた。
松宮「タイトルはちょっと村上春樹的かな」
あやりえ「村上春樹は好きです」
松宮「ヨーガと村上春樹を足してみればこうなるよ『存在は絶えず震えている。わたしと同じように』
あやりえ「ふうん」

ヨーガを知っている、知らない、村上春樹的……そんなことで語るべきじゃない。
人には生まれながら美を理解する感覚が埋め込まれているということ。あなたと同じように。
芸術家はそんな美を、観る者、聴くものに、感情を形にして伝えることができる伝道者。


彼女の絵には中国絵画における気韻生動というテーマがある。
「『気韻生動』は古くから中国の絵画の評価基準である六法のうちの第一『気と韻(生命の流れとリズム)が活き活きとしている』こと。自分自身も自然の一部であるという東洋前近代の主客的世界観を絵画として表現することの試み」

六法ろっぽう)がわからないので調べてみた。

「りくほう」ともいう。中国南北朝時代、南斉(なんせい)(479~503)の謝赫(しゃかく)が『古画品録(こがひんろく)』で述べた、絵画制作の六つの要点。このことばは東洋絵画における真髄を表したものとして、現在でも重宝がられている。確かにその内容は的確で含蓄があり、長い年月を経てもその輝きを失わない。その六つとは、(1)気韻生動(きいんせいどう)=気の充実した生き生きした表現、(2)骨法用筆(こっぽうようひつ)=骨格のしっかりした線で対象を確実に把握すること、(3)応物象形(おうぶつしょうけい)=対象の形に応じて写実的に描くこと、(4)随類賦彩(ずいるいふさい)=対象に従って色をつける、(5)経営位置(けいえいいち)=構図をしっかり決める、(6)伝移模写(でんいもしゃ)=古画の模写を行い技術・精神を学ぶ、以上である。このなかでも「気韻生動」は、芸術全般に適合することばとして広く使われてきた。
日本大百科全書(ニッポニカ)の解説



むずかしく考えることはぜんぜんない。
彼女は心の感じたことに様々なニュアンスを込め、絵筆を進めている。
居心地がいい。


緑あふれる絵画の前に立てば、深呼吸してみたくなる。

すてきな「スピリチュアル・エクササイズ」です。







 綾 理恵展-存在は絶えず震えている-

10/29(月)-11/6(火) 会期中無休
ギャラリー風
〒541-0041 大阪市北浜2-1-23 日本文化会館9F

2018年8月21日火曜日

世界のパワーバランスがおかしくなる中、音楽は今から本当に必要とされる時期に入る。

ジャパン・ステューデントジャズフェスティバルの初日(中学生の部)、黒田卓也さんに会いました。15才の時に聴いたクリフォードブラウンにショックを受けて、ジャズメンを目指した、と聞いていたので、その頃の心境から話をはじめてみたかったからです。
「鳥肌が立ちました。やわらかくて大きいサウンド。トランペットの芯のまわりを空気が覆う。フレージング、技術がすばらしすぎる」「いい人のイメージがあるブラウニーだけれど、ライブを見れば違います。音楽家としてぶっ飛んでいる。表現したいという執念があふれている」

日本人で初めてBLUE NOTEと契約した黒田拓也。アフロはステージで「目立つ」事に役立っているという。


それから話は、若者のJazz、これからの音楽へと進みました。
高校野球まっただ中の期間(8/17〜19)、神戸文化ホールでは中高校生の<ジャズ甲子園>ステューデントジャズフェスティバルが開催された。

初日ゲストはフェスティバル出身者のユニット。スペシャルゲストの黒田拓也、広瀬未来(甲南高校出身)ほか、高砂高校、六甲アイランド高校など出身者たちで校正。音楽を一生の友にする楽しさが満開だった。生徒たちも自分たちの未来と重ね合わせたかもしれない。





 彼とこれからのJazzはどうなっていくかを話しました。ジャパン・ステューデントジャズフェスティバルも34年目を迎え、生徒たちのレベルも上がっていますが、聴衆は年寄りが多く、祖父、祖母が孫の発表会に来ているという景色なのです。街中のJazz Clubもお客様は年配ばかり。これはいかん。
 ニューヨークはどうなんでしょう。
「この5〜10年で変わってきています。Jazzはこうあるべきという概念を破るスタイルにも人気があります。Jazzを解放しようとする動きが出てきて、Robert Glasperがその代表です。彼は音楽シーン、Jazz、R&B、クラシックなどに摩擦を起こし、その摩擦がエネルギーを起こしています。もはやJazzをJazzと呼ぶ必要もない、と発言もしています」

そこであらためてRobert Glasperの「So Beautiful」を聴いてみました。
たしかに今の時代、次の時代に何をすべきか、想いに満ちた演奏です


Robert Glasperの解説(中山千尋<http://mikiki.tokyo.jp/articles/-/12800>
90年代後半以降のブラッド・メルドーを主流とするストレート・アヘッドなジャズ・ピアノ・スタイルでデビューした当時、ロバート・グラスパーは〈黒いブラッド・メルドー〉と囁かれたほどだ。その煌びやかなピアニズムは数々のサポート・ピアニストとしての演奏でもうかがい知ることができる。難解なコード進行や変拍子を軽やかに、そして最もスタイリッシュでソリッドな奏法で表現できるピアニストはそう多くはないだろう。興味深いのは、ロバート・グラスパーが彼自身の職人的なジャズ・ピアノ技法を突き詰めるというベクトルではなく、ジャズのパラダイムを転換するという最も重要な役割を果たすアーティストという方向にシフトしたことだ。同時代のカリスマ的なアフリカン・アメリカンのミュージシャンたちがそうであるように、彼自身の音楽のルーツであるチャーチ(教会)/ゴスペル・ミュージックをさらに深め、独自の進化を遂げているロバート・グラスパーこそ、いまのジャズにとって台風の目なのである。〈ジャズ=ロバート・グラスパー〉。そんな等式が、現代においては腑に落ちる答えではないだろうか。ロバート・グラスパー・エクスペリメントでの活動でもカリスマ的な人気を誇る彼には、ジャンルを問わず若い世代のフォロワーが数多い。そんなことからも、その音楽の影響がどれだけ大きいかを物語ることができるであろう。



ジャズは、どうしても難解だと思われがちでけれど、いいと思ったものを正しい形で伝えれば、ジャズの世界も広がる。20、30代の若い世代が『きょう暇だから、ジャズでも聞きに行くか』って。そういう会話が普通に聞こえるようになったらいいな」
 じゃあ、どうすればいい?
「ミュージシャンが演奏の機会を増やすこと、ミュージシャンが演奏できる機会を提供すること。いいものを聴く機会が増えれば、プロモーターやプロデューサーも目を付ける。ミュージシャンは演奏の機会が増え、ハコの入場料を下げることもできれば若いリスナーが参加しやすくなる」

 むずかしいでしょうか? 簡単ではないかもしれない。

 そこでステューデント・ジャズフェスティバルなのです。中学高校生による感度の高い演奏会。素敵なコンテンツ・素材があるではないですか。
 フェスティバルで受賞にあたりするレベルの演奏を聴けば、ファンになること請け合いです。しかも安い。入場料は¥1,000,学生なら¥500で、1日6時間も聴けます。


 ジャズが閉ざされてるという問題点は、良くも悪くも1940〜60年代あたりのジャズメンたちがすごすぎることにもあります。音大の学生だって、チャーリー・パーカーやセルニアス・モンク、クリフォードブラウンなんかを目指す人が多い。未だに廃れない人気は、彼らがいかに巨人だったかにあります。









しかしパーカーもマイルスも当時は保守派から「そんなのはジャズじゃない」とか言われたんです。じゃあ、いまの革新はなんですか?
Robert Glasperはたしかにそうかもしれない。(グラミーだって獲りました)でも革新は世界のトップだけの仕事じゃない。新しさは神戸のステューデント・ジャズフェスティバル2018にもあったのです。











 僕は、グランプリに当たる神戸市長賞を獲った伊丹市立伊丹高等学校がラストに演奏したにジャズの革新を見ました。

<The Gathering Sky>訳せば「空を集めて」。空想へ誘われ、広がる世界。やさしい曲想である半面、むずかしい曲です。解釈も技術もアンサンブルも。ところがパットメセニーのオリジナル・ギターサウンドよりも、生徒が奏でるソプラノサックスのほうに世界を広く感じ、心さえ癒されたのです。ギターを管楽器に代えたことで、クラシックの楽曲にさえ聴こえました。アレンジはジャズの解釈を広げています。高校生がここまででやるのです。



伊丹市立伊丹高等学校はグランプリに当たる神戸市長賞受賞。ソプラノサックスとトロンボーンでも個人賞を穫った。



 2日目の審査員評で古谷充さんはこう仰いました。
「演奏のレベルが年々上がり、上位は差がないように聞こえるかもしれない。しかし、小手先と、修練を積み上げた演奏にははっきりと差が出る」
3日目の審査員評宗清洋さんも、リズムセクションの重要性とともに付け加えました。
「テンションを使うにしても、わかって使う事が大切。行き当たりばったりはだめだ」
上位チームはそんな厳しい審査員のメガネにもかなった演奏を披露しました。

 生徒たちはまだまだ羽ばたけます。だって年長でも18歳。
フェスティバルのオーラスを飾った<The Gathering Sky>、空の広さとともに、ジャズはもっと広い空へ翔る、そんな思いを抱かせてくれた演奏でした。美しい音に包まれ、今を大切に生きよう、そんなことさえ感じてしまいました。

 聴衆にサマソニに行くような世代が少ないのは寂しいことです。文化を楽しむ機会損失です。受賞レベルの演奏を聴けば、ファンになること請け合いなのに。
惜しくも2位の高砂高校。ドラムとサックスは個人賞受賞。来年がんばれ。
兵庫県立国際高校。歌姫がヴォーカルで個人賞。





 さて、話は戻って黒田卓也さん。
「世界のパワーバランスがおかしくなる中、音楽は今から本当に必要とされる時期に入ると思っています
 彼も未来へ向かいます。
「Clifford Brown with Stringsは素晴らしいけれど、自分が演奏家としてそこへ戻ることはない。大ファンには違いないけれど、次へ進まないと」

 進む方法を、生徒たちからも教えられましたのではないでしょうか。
 今の若者はかつてジャズが流行った時代を知りません。熱気の恩恵を受けていません。逆に言えば、なにをやってもいいのです。情報もいっぱいあります。自分の部屋で、スマホで、チャーリー・パーカーとマイルス・デイビスとロバート・グラスパーを並行して聴けるのです。これがジャズ、なんて狭い範囲でくくる時代じゃない。ジャズは革新です。
フェスが終わって祭りのあとの気分。でも、秋にも冬にもJazzはあります。新しいJazzを見つけに、街へ出ましょう。
Clifford Brown with Strings 黒田卓也さんの心の友。でも次へ進む。


報道ステーション・テーマ曲 「Starting Fiveby JSquad

 神戸文化振興財団の方からお聞きしましたが、神戸は路上ライブの場所がほとんどないということです。行政はちょっと手を貸してあげて、公園や駅前、商店街などを使えるよう、間に立ってあげてほしいものです。井の頭公園では借りやすいシステムがあるそうですし、目を海外へ向ければ、ニューヨークやパリでは、素敵な路上ジャズライブがいっぱいあります。場所などいくらでもあるでしょう。ライブハウスに出る前の腕試し。部活帰りの高校生にプロも混じってジャムをする。飛び入りですぐ合わせられるのもジャズの魅力です。そんな景色を神戸で見たい。まずは一ヶ所、場所を作りませんか。ステューデントジャズフェスティバル開催中も、市内中心部にビッグバンドの席を作っておいて、高校生たちも街中で一曲披露してから解散する。駅ピアノならぬ、南京町入口ピアノ、とか。街をもっと魅力的に。やり方次第。やりかたは何通りもあります。神戸から、素敵な演奏をもっといっぱい届けましょう。





神戸ユース・ジャズオーケストラ。メンバー募集中

小説「アンフォゲッタブル」には実在のジャズミュージシャンたちが登場します。中高生のジャズ楽団「神戸ユース・ジャズオーケストラ」もそのひとつです。 神戸ユース・ジャズオーケストラ。メンバーとコーチ。 ジャズをテーマに書いたきっかけは、ミュージシャンの広瀬未来・高橋...