にっぽんの、 ハイカラ商売のはしりは牛肉。
明治元年。神戸に居留地ができ、外人が住みはじめたころのこと。
かんばんに牛肉商の文字がみえる月下亭。住所は神戸宇治川東とあります。 |
「外人がふえると、当然、食習慣の違いが、新商売をうながす。真っ先に要求が出たのが肉。なにしろ、牛肉を食べる習慣がなかったころだけに、在留外国人は困った。伊藤は外人から泣きつかれ、宇治野村の庄屋に頼みこんで村人に屠牛をさせ、供給した。それでも需要に追いつかない。居留地外人がふえてくると需要も激増。明治元年、E・Cキルビーが海岸通りにあった柴六酒蔵の倉を借りて屠殺を始めた。しかし、屠牛場第一号は周辺住民の反対で廃止」
「海鳴りやまず」は昭和50年代、神戸新聞朝刊に連載されていたものをまとめたもの。 |
執筆者は新聞記者で、内容はほぼ、人物と人物にまつわる出来事で構成されています。
伊藤俊輔が泣きつかれた話もここに書いてあります。
人間というのは愉快で哀しい、そんな内容がぎっしり。
ところがこういう本は間違いなく絶版状態。
古書店やオークションでも探せない。
どこにあるかといえば、図書館です。
先日、神戸市中央図書館の館長と話す機会がありました。神戸市は各区の図書館をきれいにしていく計画が順次進行中で、図書館リニューアルには現代の生活様式を反映するサービスデザインなども盛り込まれますが、大前提となる機能は変わりません。なんとか賞を取った最新本も並ぶことは並びますが、それは本屋でも買える。
大切な機能のうちのひとつが「地元本」のアーカイブなのです。
ある町のことを調べたければ、その町の図書館へ。
古びた書籍のどこかのページに、見たことも、聞いたことのない話がみつかる。
今更ではありますが、図書館は発掘の場、それを楽しむ場、あらためて思いました。
図書館へ行ったとき、地元本の書棚を、たまにはのぞいてみましょう。
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