小説「燻り亦蔵」

大河シリーズ第二部となる「燻り亦蔵」(くすぶりまたぞう)ですが、幻冬舎の文芸雑誌で書評家の香山二三郎さんが「超ユニークな剣豪小説」と2ページ分の書評を書いてくれました。うれしかったですね。明治時代の東大で漢文の先生となったもと剣術遣いが、不良外人教師に「寸止め」の鉄拳を喰らわせた部分は史実に基づいています。日本人もその頃は武士の魂を持っており、迫力があったのですね。ギャル男だらけの今に、剣豪小説ですこしでも警鐘を鳴らせればうれしいです。

この物語の第一稿ができたとき、アメリカの大統領はクリントンで、ニューヨークにはワールドトレードセンターがありました。小説の刊行は第一稿から4年経ったのですが、その間にアメリカの大統領はブッシュに代わり、同時多発テロでツインタワーが崩壊、アフガニスタン侵攻、そしてイラク戦争へと突入していきました。9月11日の現場では、僕の友達のひとりも正義感に燃え、消防隊と一緒にまる一日ビルの中へ入っていたそうです。何をしていたのやら、訓練を受けた消防隊員でもないので皆心配し、出てきたときはほめられるどころか、まわりからはかなり怒られたようでした。そういった身近な人間が関わったような実感もあり、また物語に出てくるソーホーグランドホテルの窓から、実際ツインタワーを眺めた記憶もあり、存在が消えて空だけが残った、という気分が無情をかき立てたことは事実です。
そこから、この物語は様相を変えていきました。社会とは、戦争とは、人間とは、という疑問をタバコ問題を借りて書くことになったのですね。
グリムショーはこのあと大統領になったのでしょうか?
現実には初の黒人大統領であるオバマですが、さてこのシリーズでは誰に?

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