小説「鎌倉の怪人」連載記念 松宮流 小説の作り方 その1

松宮流 小説の作り方

その1
登場人物の名付けについて

主人公のひとりである駅員 松本富五郎(とみごろう)ですが、
この名で松本留五郎(とめごろう)を思い出す人はいますか?

松本留五郎とは、桂枝雀の落語「代書屋」に出てくる「とめ」こと留五郎です。
「鎌倉の怪人」の主人公の名前は、代書屋にやってきた、文盲なのに陽気な職人を思い出し名付けました。

富五郎は留五郎の一本気な職人気質を受け継いだキャラになってます。意識して受け継いだのか、自然とそうなったのか、書いている本人も微妙なとことですが、そういうのが、書く楽しみであるのです。

登場人物をどう名付けるか?
自分が生きてきた実際の経験や読書経験、また芝居や映画で出会った人物やら・・いろいろです。
語感は特に大事ですね。名は体を表します。逆に名がたいそうで、たとえば剛蔵という名のやさ男とか、効果も考えますね。
ま、付けた名で自分が面白がれるかどうか、それがいちばんです。登場人物とは長いつきあいになりますから。

「燻り亦蔵」で外人をいっぱい登場させたときは、アメリカ人でシナリオを書いている友人に見てもらいました。登場人物のプロファイルを整理し、候補となる名前をもらいました。ジョージア州出身の58歳の政治家、その友人のFBI長官、その娘、彼氏となるポーランド系ユダヤ人、イタリア系マフィアの殺し屋、NYU出身の新聞記者とか、さすが、日本人では出てこない苗字がいろいろありました。チェンバレンとか、カニンガムとかヘイスティングスとかギルモアとか。

そうやって唯一無比の名前をひねり出すのですが、と言って、途中で変更することもあります。名前を検索して一括変換なんてね。書きながら、名前につながる伏線が見つけることがあるからです。そういう意味では初期設定は何でも良い、と言うことにもなるのですが、そうではない。名付けたからこそ主人公が走り出す、ということがまずは基本なんですよ。
主人公といっしょに走る、その感覚が長編を書く醍醐味で、他に換えようのない喜びであるからです。
「こいわらい」のメグルとは走り出して10年以上。いい名前を見つけたと思っています。

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